オランダでの発表を大成功で終えられたとらこ先生から詩が届きました。
オランダからドイツに向う途中、車窓からドイツの田園風景を眺めて作られたものです。
人間について、環境について、自然と共に生きることについて、私たちも、詩に描かれた風景を思い浮かべながら、とらこ先生とともに、あらためて考える必要があると思います。
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列車はオランダを出てドイツに入った。
ヨーロッパの冬の象徴である鉛色の雲からかすかな太陽がぼやけて見える。
列車の窓から見える村の家々には、人々が一生懸命生きていることだろう。
オランダ人もドイツ人も日本人も多くの苦しみを携え、それでも幸せを求めて一生懸命生きようともがいている。
人間はどれほどの苦しみを耐えればいいのか。どれほどの悲しみをのみ込めばいいのか。
戦争で丸焼けになったドイツの田園を眺めていた。
今は何事もなかったかのように木々は大きく茂っている。何事もなかったかのように淡い太陽の光が列車の窓にも差し込む。
牛が座ってくつろいでいる。
今夕は雨かな?
のどかだなぁ~。
福島以来、ドイツこの田園にも、多くの風車が建てられクルクル回っている。
安全を求め、理想的環境を求め、風車がクルクルまわっている。
風車の選択は正しかったのだろうか?
私のふるさと佐田岬半島には、巨大な風車が何基も備えつけられ、美しい半島を台無しにした。
いつも唸るような風音に半島に押し寄せる潮騒の音さえも消えうせる。
人間は暗闇を怖れたために、電気のない生活ができない。
電気のない生活に戻れない都会じみた人間をせせら笑うように、巨大な風車はクルクル回っている。
もう一度考えよう。本当の自然に生きる事を。
自然と共に生きる事を。
太陽が沈めば寝る。太陽が昇れば起きるこの生活。
それは、人間が退化したのではなく、最終的に辿りついた人間の知恵の生き方である。
何も怖れる事はない。
ただ自然に身を任せ生きてみてごらん。
悪いようにはならないから。
あくせくせず、ただゆったりと生きてご覧。
そしたら女神がほほ笑むよ。
ほら、ここに彼女はいる。