責めるべきものがあるならば 〜ベルリンにて 由井寅子〜

20121106

やりきれないのだ。

この壁が、家族を友人を国を引き裂き、そして見る者の心を引き裂く。
40年の歳月を分断されたベルリン。

ベルリンよ。君が悪い訳でないのだ。
ドイツ人よ。君達が悪い訳でないのだ。
多くの人々がその時の人間の無知と愛の無い決断によって身も心もずたずたにされたのだ。

もういいんだよ。
この辺で、ドイツ人も日本人も自分達を責めるのは止めよう。
否定からは、罪の意識からは何も生まれない。

自由を求め、東ドイツから西に逃れようとした人々がここに眠っている。
一縷の望みは叶わなかった。
自由と言う理想の為に死んでいった。

彼らの心を癒すのは愛の心でしかない。
平和とは愛ある人々がお互いを尊重し合う事である。

もういい加減ドイツを責めるのは止めてくれ。
日本を責めるのも止めてくれ。
責めるべきものがあるとすれば、それは愛なき人間の心である。

一人一人がどうすれば自分から愛を発信できるか徹底して考えよう。
それにはお互いの命を尊重し合う事だ。

責める事でなくて君も私も皆も地球も、この命を精一杯生きている。
だから愛おしいのだ。
皆、一生懸命幸せを求めて生きている。
だから、涙が出るんだ。

この命を殺さないで。

一つ一つの命の尊さは、そして命の自由さは、私達一人一人の愛ある心にかかっている。
今日、私をおとしめ、誹謗する、最も嫌いな人に私は精一杯の愛を送ろうと思う。

「君の命に弥栄」と!